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日々、考察中。

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いのしし食った!

いのしし食った!

2004/9/2
 夏季連休中にいのししを食べた。
 普通は、いのししというのは冬のものである。理由は、狩猟の時期が冬だからであり、冬の方が脂がのってうまいからだ。それなのに今回、なぜいのししを食べられる事となったか。話は8月前半に遡るのである。
 僕の父親が、自分の山に行った時の事だった。
 休憩小屋の近くに、がさがさと動く物体がいるではないか。そっとよってみると、どうやらいのししのようである。しかも、近づいても逃げる気配がない。これはどうしたことかと、さらに近寄ってみると、罠を引きずっているではないか。その時点で、父親の頭に浮かんだのは、罠を仕掛けたであろう近所に住んでいる人物の名前だった。時期的に猟ではないから、害獣駆除の罠であるらしい事もわかった。そして、いのししをそのままにして山を降り、その人物へ行ったのである。いのししの事をその人に話すと、その人は言った。「おれは、あの辺りは罠を仕掛けていない。」こうなると、父親は困る。すると、その人は言った。「殺して、食ってしまえ。どうせ、お前の山の中の事だろう。」父親は了解し、家に帰ると、冬季には猟を行っている、隣のおじさんに話を持っていった。生きているいのししを殺すのに、鉄砲を使おうという考えの元にである。すると隣のおじさんは言った。「それは、おれが仕掛けた罠だ。」どうやら、害獣駆除用に隣のおじさんが仕掛けた罠を、いのししが引きずって僕の父親の山の中に逃げ込んだらしい。隣のおじさんは、罠がなくなっているから逃げられたと、悔しい思いをしていたらしいのだが、ここで発見されたと言うわけだった。早速山に登っていのししを撃ってもらい、いのししを担いで山を降り、解体して肉内臓を分けたのが8月6日。僕が実家に帰ったのが8月11日。僕は、冷凍ではない、生のいのしし肉を食べられる事となった。
 冬にはたっぷりついている脂肪が、夏のいのししにはほとんどなかった。しかし、固くはなく、むしろやわらかい。さらに、豚肉よりも味がある。おいしい。
 肉だけではなく、内臓も新鮮でおいしかった。
 レバー、心臓、腎臓。どれも、生のものを食べるのは初めてである。レバーは、臭みはほとんどなく、やわらかい。心臓は、こりこりしたはざわりで、噛み切れる瞬間が心地よい。腎臓は、風味はレバーに似ているが、若干歯ごたえが強い。
 僕は、新鮮ないのしし肉を、父親と共にビールを飲みながら、楽しんだ。

 しばらくして、僕の頭の中に浮かんだのは、10数年前の思い出だった。
 あれは高校3年生の大晦日。僕は実家で、父親と酒を呑んでいた。未成年の飲酒である事には違いないが、父親と呑むという、飲酒の法律違反の中では比較的叙情酌量余地の高い状態であったから、その点については見逃して欲しいが、呑んだ量はかなりだった。
 僕は、舐める程度の飲酒の経験はあったが、本格的に"呑む"のは、この時がはじめてであったように思う。父親は、「子供と一緒に呑む」という事を楽しみにしているような人であったから、高校3年生という年齢は、あまり気にしなかったのかもしれない。とにかくその日、僕は"酒の世界"を知ったのである。
 呑んだ量を告白すると、まずはビール。大瓶で半ケースほどだから、633mlを10本ほど。そして日本酒。僕はあまり杯が進まなかったような記憶があるが、2合徳利に3本ほど。そしてウイスキー。半分以上残っているサントリーリザーブを無くして、新品のオールドを空けた。それから、大晦日から正月用に買ってきたホワイトホースを半分。約2本を呑み尽くしたのだった。単純に、1人が、ビール大瓶5本、日本酒3合、ウイスキー1本を呑んだ事になるが、父親の方が6割以上を呑んでいたであろうから、僕が呑んだ量はビール3本、日本酒2合、ウイスキー500mlほどであろう。
 なぜ、いのししの話から、大晦日の酒の話を思う出したかというと、その時の肴がいのししだったのだ。しかも、ストーブの上で焼いてそのまま食べるという贅沢な食べ方で、僕は酒がうまいのといのししがうまいので、慣れていない酒をどんどん進めてしまった。
 案の定、次の日の正月元旦は、人生初めての完璧なる二日酔いで、ほとんど丸1日布団の中にいたが、父親といえば、早朝から年賀状などを見つつおとそを呑んでいたのだった。


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